豪、子供SNS禁止が施行=実効性に課題、法廷闘争も
2025/12/09 22:04配信【時事通信社】
【シドニー時事】オーストラリアで16歳未満の子供のSNS利用を禁止する法律が現地時間10日、施行された。国レベルでの禁止措置は世界で初めて。だが、年齢確認は企業の裁量に委ねられ、子供が規制を迂回(うかい)して接続する余地もあり、実効性の確保が課題となる。憲法との適合性を問う訴訟が提起されており、来年に法廷闘争が本格化する見通しだ。 豪政府は、SNSを介したいじめや性的搾取を防ぐとともに、長時間利用による依存の解消を促すことを目的としている。フェイスブックやユーチューブなど10のSNSを禁止対象に指定済みで、状況に応じて追加する方針だ。 昨年成立した法律は、SNS企業に16歳未満の接続を阻止するよう義務付け、違反した場合に最高4950万豪ドル(約51億円)の罰金を科すと定めている。子供や保護者を対象とした罰則はない。 規制の鍵となる年齢確認に関し、政府は統一的な手段や基準を設けず、各企業に「合理的な措置」を取るよう求めた。公的身分証明書の使用は強制できない。年齢の詐称や仮想プライベートネットワーク(VPN)による国外からの接続偽装といった抜け道を完全に防ぐのは困難とみられる。また、禁止回避先として未指定のSNSへの登録が急増する現象が早くも起きている。
